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10月24日 北海道 鶉小学校川体験学習

 北海道渡島半島、内浦湾に面する八雲町。
 長年、八雲町を東西に流れるユーラップ川の自然遡上のサケを取り続けている動物写真家、稗田氏による体験学習プログラム。
 稗田氏は、サケだけではなく、川に生息する生き物たちすべてに対して長年研究をされている。
 この稗田氏がおいかけるサケ、そして自然の状態が保たれているユーラップ川を環境教育教材として活用できないか、また稗田氏がもつデジタルコンテンツを活用する手だてについて大日本図書の原氏についていき、取材に行く。
 この日、稗田氏がゲストティーチャーで、八雲町とは逆の日本海側にある厚沢部町の鶉小学校全校児童のサケの遡上を追っての川体験学習に同行させてもらう。

 川体験活動スタート。
 まず、橋の上からサケの遡上および産卵をみる。
 以前に稗田さんは、学校に訪問して話をしたということで全体での挨拶もとくになく、子どもたちそれぞれが稗田さんに挨拶する自然なスタートだった。
 稗田さんの役割は、川のいいポイントへ案内すること。先生方も子どもたちの体験活動を重視し、余計なことを言わない。
 担当の中山先生にお話をお伺いする。
 「とにかく今日はいろいろ体験させたいと考えている。そうした中で、子どもたちの中から疑問や興味・関心がわいてくるのを待つ。こちらは見守っているだけ。
と話す。5・6年生による総合的な学習の一環でこの体験学習を行っている。
 この総合的な学習も、まず子どもたちからの自然な疑問からスタートしている。川に落ち葉が積もっていて、普段の遊びの中でそれらに興味を持っていた。あるときその落ち葉がなくなり、その行方を探求することに。川を数箇所回り、子どもたちはいろいろ気付く。しかし、知りたいことがたくさん出てきた。そこで、長年川を研究している稗田さんの登場となる。こういう子どもたちの学びに沿った自然な形のゲストティーチャーの導入は、総合的な学習の時間のみならず他教科にも共通していることである。

 子どもたちが川に降りて見たいということで、橋から川へ降りる。
 サケは産卵後力尽きて死んでしまうことは、子どもたちもわかっており、その死骸を「ほっちゃれ」というが、まだ死んだばかりのサケを子どもたちが見つける。
 早速調査開始。5・6年生の子どもたちは、それぞれ目的をもってこの活動に取り組んでおり、サケをいろいろ観察する。体重を量ったり、解体をして胃の中身を調べたり、各部分の機能については稗田さんが説明をしてくれていた。

 子どもたち自らで解体しているシーン。
 子どもたちは、体重や体長をはかり、その後解体したいといい、ナイフを持ち出す。
 このとき先生方は、「いいよ。」とだけで他は口出さない。子どもたちの活動をじっと見守っていた。全職員を通してこのような意思統一ができているところがすばらしい。もちろん校長先生もニコニコと見守っておられた。
 解体している子どもたちは自分のナイフを持っている。これは中山先生が学級開きと同時に子どもたちに渡すものであり、鉛筆も削れない子どもが多い中、このような取り組みはとても参考になった。こういう手だてがあったからこそ、子どもたちの関心・意欲の幅が広がり、解体して調べたいということになった。
 子どもたちはとても手際がいい。「これは心臓、これは稗田さん何ですか?」というふうにみんなに示していた。
ちなみに、「ほっちゃれ」は流木と同じ扱いだそうだ。

 子どもたちが稗田さんに説明を求め、説明してもらっているところ。
 解体は気持ちが悪いということで、見ていない子もいた。しかし、中山先生は強引にひっぱって見せることなく、「いろいろな子がいていい。その子たちはまた別な方法で活動していくだろう。」という。何でもみんな同じように体験させていくというのではなく、一人ひとりにあった体験活動を展開していくことを示している。

 捕獲場。
 サケが捕まっているのでかわいそうという子どもたちに、サケを育て守るための場だということを話す。
 このとき、稗田さんは先生方の輪に入り、詳しい説明をしていた。子どもたちの体験活動だけでなく、先生方の研修もこれにより行っていたことになる。先生方の知識が増し、このことがさらに川に対する総合的な学習の時間の幅が広がることとなる。

 遡上最上限を目指す。
 このような狭い川もサケは遡上してくる。

 ここでは、実際に川の中に入り体験する。
 川底をのぞいたり、サケとともに泳いだり(^^)。冷たい水ではあったが、先生方も子どもたちもめいいっぱい体験していた。
 稗田さんは、それを見守り、質問があると答えていた。

 川の中での自然な形で説明しているシーン。
 稗田さんの説明が子どもたちの中にすんなりと入っていくのがわかる。たっぷりの体験と先生方のそれをじっくりと見守っている姿勢がこのような子どもたちの学びを支援している。


 約束していたという水中カメラで水の中を見ているシーン。
 その映像のきれいさに、川底がしっかり見えるのに子どもたちは大きな声で感動していた。


 
 水中カメラのレンズ越しに撮影した写真。


 「ほっちゃれ」が森にとってどのような役割を果たすのかを研究されている専門家の方の話を聞いているところ。稗田さんだけではなく、多様なゲストティーチャーを招いている。
 「すぐには子どもたち一人ひとりに課題は設定できない。帰ってからじっくりと熟成して、子どもたちとしっかりと自分たちの課題を見つけていきたい。」と中山先生は語ってくれた。
 体験して、すぐに課題設定を求めがちだが、子どもたちの考えを熟成する期間をしっかりと与えている。
 総合的な学習において、その課題設定如何で学習活動の是非が決まる。この取り組みは、そういう意味においてとても参考になるものとなった。


TOP Last Update : 2002/10/28